三世代同居に生まれた一人っ子 〜小さな防衛軍だった前編はこちらから
新しい生活
「最初の妻には伏魔殿のようなところへ招き入れてしまい、
つくづく悪いことをしてしまったと思った」
モンさんが現在幸せになっているからこそ言える、
とても正直な謝罪の言葉だと感じた。
モンさんは約1年前に再婚をした。
ちょうど人生の歯車がよい方向へ動き出した頃から、
プライベートでも安定感を帯びていた。
同居していた祖母も、
母の妹の家で一緒に暮らすことになり、
モンさんの新たな結婚生活は2人きりで始めることができた。
祖母は母親の妹にあたる、
モンさんの叔母とは昔から折り合いが良いので、
喧嘩の心配はない。
家庭は一件落着している。
ここからモンさんが自分で動けるようになるためには、
どうすればいいのか?
という問題に入っていった。
それぞれの立場があった家庭
母は妹と二人姉妹の女系家族だった。
父は婿養子として母方の家へ入ってくれたそうだ。
自分の妻だったとしても実の母子間で諍いが起これば、
他人である父には介入できない。
また祖母にとっても母と父の家に暮らすことは、
「アウェー」という肩身の狭い立場だ。
祖母としては自分の娘にも、
義理の息子にも孤独な立場は言えない。
どの人の苦しい立場も家族のなかで一番理解をしていたのが、
小さなモンさんだっただけに、
全員の大人がモンさんを家族の緩衝材としての役割を
担わせてしまった。
幼少期から絶え間なく続く
身内の諍いに遭遇してしまえば、
「自分が家族の防衛軍にならなければ」
というスタンスを、
純粋な子供が自然と身につけてしまったのは
無理のないことに思えた。
それはそこの家庭で育ててもらうための
モンさんの役割であり、サバイバルだったのだ。
けれどもその役割を続けることで、
人の顔色がやけに気になってしまったり、
なにかを始めようとすると、
心にブレーキをかけてしまうようになっていた。
自動思考は、良くも悪くも作用する
とはいえ幼少期から植え付けられて、
40年近く続けた思考を手放すのは難しい作業だ。
「親の諍いを発見したら、止めに入らなければ」
という思考はモンさんにとって、
考えずして起こる感情なのだ。
これを心理学的用語では「自動思考」という。
自動思考を手放すためには、
まずそういった「思考癖」
が自分にはあるという強い自覚が必要となる。
人の心に関わる仕事を選んでいたのも、
「防衛軍になる」
という自動思考の元で選んでいたと思われる。
子供の頃から防衛軍になる
特殊訓練を受けていたと考えればいい。
訓練の成果は知らない間に特技にもなっていたため、
誰かへアドバイスをするコンサルタントという立場では、
この特技が最大限に生かされる。
つまり生育歴によって身についてしまった自動思考は、
適材適所で使うことにより、
人より強い能力を発揮できることになる。
つらい経験も、
よい方向へ活かすことができるのだ。
自分で防衛軍になるか否か?を選択をする
一方で最初の結婚で母と祖母の防衛軍になり、
エネルギーを注いでしまった時期には、
仕事や家庭までうまく回らなくなった。
これは「防衛軍になる」という自動思考の使い場所が、
違ってしまっていたからにすぎない。
子供の頃には選択の余地がなく、
家庭内で防衛軍にならなければ
家庭での存在意義がなかったかもしれない。
でも大人になった今は
祖母や母の防衛軍になろうとして顔色を見ていなくても、
奥さんとの居場所がきちんとある。
今なら防衛軍になるもならないも、
モンさんは選ぶことができるのだ。
それなのに自動思考が邪魔をして、
モンさんはまだ自分に
その選択肢があることを気がついていなかった。
これを説明すると
「あー!本当だ。自分で防衛軍になることを選んでいますね!」
と表情が一変した。
一人っ子の特徴「こだわりの強さ」
また服や仕事に見せる「こだわり」。
これも一人っ子のモンさんの持つ特徴だ。
一人っ子は自分のやりたくないことは、絶対にしない。
極端な例えだけど、
100人の人が「美味しい」と言っても、
自分が「美味しくない」と思うものは、
決して口には入れないというこだわりがある。
長子(一人目)、中間子(間の子)、末子(末っ子)
の誰もが持たない特徴でもある。
これは良し悪しではなく、一人っ子の「本質」なのだ。
幼少期のしつけでどうなるというものではない。
モンさんはファッションや仕事に
強いこだわりを見せることで、その特徴を現していた。
今の仕事を辞めなかったことも、
コーチングの講習を受けて、
順調に著書が出版できたのも、
誰かを助けようと思った行動ではなく、
無意識で自分の好きなことにこだわって、
スイスイとやってこれた成果だ。
また好きなことに関しては、
誰にでも簡単に叶えられることではないことを、
達成できる高い能力を持っている。
しかもモンさんが綺麗な服を着ることや、
他者に取って有意義な本を出版したことで、
モンさんのみならず、
周りの人々をも心地よくしてくれている。
要は自然の欲求に従ったことは、
成功しているのだ。
私がインタビュー中に聞いた範囲では、
いちばん理想的な形でモンさんのこだわりが、
作用している場面だと思う。
広告塔になろうとして
心にブレーキをかけてしまうのは、
他者からの否定を恐れているのではなく、
好きではないことをしようとしている、
自分の心からくる否定かもしれないという結論となった。
「手のかからない子と言われてきたので、
手のかからない子でいなければならないと思っていた」
というモンさんの言葉通り、
他者に対して手のかからない人になることに集中するのではなく、
自分の好きなことにこだわることで、
自動思考はよい作用にばかり使うことができる。
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