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士業の専門を探すつもりだったのが・・・誰にも言えずに抱えていた、夫婦間の大問題が出てきた前編はこちらから

私からまりこさんへの「専門が決まれば開業できますか?」という問いかけに、
「えー!わー!できないかも!」という返答が返ってきた。

まりこさんが専門を決められないことに、心に見えないブレーキがかかっているように感じていた。
そのブレーキがいったいなんなのかは、わからなかった。

ただしブレーキを外さないことには、専門も模索できないだろう。
もともとお互いにブレーキの話をすることを目的としていなかったので、インタビューをどう続けるかという相談をした。

まりこさんとしては結婚当初から夫との関係性に問題があるにはあるが、それは仕事とは関係ないことだと思っていた。
確かに家族の問題と、仕事の専門を決めるということは別のことかもしれない。

また問題を私に話にくいようなら、無理やり聞き出すことはしたくなかった。
まりこさんの判断を待っていると、とても静かに話を始めた。


結婚初日からセックスレスだった

まりこさんは20代後半で結婚をしてから、40代に至る現在まで夫とセックスをしたことがない。
それはまりこさんの心に、大きな影を落としていた。

セックスレスの原因は夫のED(勃起不全 EDとはWikipediaより)だった。

夫婦でカウンセリングを受けてもみたが、続かず立ち消えになってしまった。
投薬など内科的な治療は、夫が積極的にならなかった。

このことを巡ってはなんども話し合ったし、大きな喧嘩もした。
けれども叶わずにいる。

セックスレスという事実を考えないようにするため、信仰と、がんばりと、持ち前の明るさで乗り越えてきた。
それは難関試験を受けるための動機づけにもなったし、強い意志がなければ合格することもできなかっただろう。

結婚当初2人の人たちに悩みを打ち明けたことはあるけれども、それ以来誰にも言えず長いあいだ胸の中にしまっておいたこと。
これを打ち明ける他人は私が初めてだというほど、苦しみを解放できずにいた。

セックスレスの悩みは根深い

「子供を産む」という本能を持っている女性にとって、セックスレスは「女性性」そのものが脅かされる。
肉体的な欲求とは別に、精神的に自分の女性性が否定されたように感じられ思い悩む。

夫婦間でのセックスは女性にとって心身ともに充足感や、信頼感を得るための大切な行為。
後の世代を安全に産むために、女性だけに与えられた男性とは異なる生理的欲求だ。

浮気をしている夫とのセックスレスと違い、EDなのだから仕方がないこともわかっている。
そう理解していながらも夫が治療に消極的なことにも、まりこさんはとても傷ついていた。

私がもし同じ状況なら治療に積極的になってくれない夫に対して、愛情を感じられただろうか?

セックスレスを考えなくするために、それほどの強いがんばりを持つことができるだろうか?
そう思い離婚をしなかったのは、宗教上の理由なのかと聞いてみた。

まりこさんの教会は、離婚を禁じてはいない。
過去に離婚を考えなくもなかったけれど、セックスレスの問題以外の夫はとてもいい人だ。

はたから見てもとても仲のいいと評判の夫婦で、まりこさんもセックスレスの苦しみを隠して、仲の良さを装ってきた。

夫はまりこさんの受験勉強を含む、さまざまな活動に協力的だ。
セックスレスである側面さえ見なければ、これからも仲良く暮らしていくことは可能だ。

ただそこにはセックスレスの現実が頭をよぎらないように、夢中になって取り組むための目的が必要だった。

まりこさん自身が考える自分の性格として、他人からとやかく言われることはそれほど気にならない。
それよりも問題が解決してくれることの方が大切だから、問題解決の糸口を探りたいという思いもあった。

しかしながら相手あっての問題は、そう簡単には解決できるものではない。
ご主人の心情を思いやって、これまで見ないようにもしてきたのだろう。

同じ家に住む夫婦が同じ問題に、別々の立場で長年苦しんでいる。
まりこさん1人ではどうにもすることができない現実で、心がいっぱいいっぱいだった。

夫が結婚してしばらくしてEDを発症をしたのなら、心情的に少しは違ったかもしれない。
いや徐々にセックスレスになったとしても、悩んでいる人たちは本当に多い。

「女友達と妻はいったいなにが違うの?」セックスレスに悩む、別の女性が言っていた。
子供がいるいないも関係ないし、ときに妻として夫からの愛情を確認できなくなるほど不安なことだ。

世界でただ1人の愛する人と、結婚初日から結ばれたことがない。
また「秘め事」であるセックスに関する悩みには、どれほど親しい外部の人間でも触れない。

家にお金をきちんと入れるように、人づてに言ってもらうようなわけにもいかない。
妻としてたとえようもなく、寂しく孤独だっただろうと思う。

これまで目的を見つけて走ることで、保ってきた夫婦関係。
けれどもどれだけ目的を達成したところで、変わらないセックスレスの現実は、まりこさんを苦しみの闇のなかへ引き戻していた。

くたくたになってしまった心は、次の目的を探す気力を失っていた。
そこに焦りを感じてはいても、どうにも動けなくなっていたことに心の核心に触れることで気がついた。

「今まで人のためばかり頑張っていた」という言葉とともに、涙が流れた。

目標を設定してがんばってきたことが、間違いなのではない。
そうしてきたからセックスレスでも夫婦関係は保たれていた。
試験にも合格をして、次のステップも待っている。

けれどもその裏では誰にも打ち明けられない我慢と、無理した明るさで疲弊していた。

問題を忘れるためにがんばるには、限界がある

ご主人がEDだという事実と、治療に向けて消極的だという事実。
一方で目標に向けてがんばるまりこさんを、支援をしてくれるご主人がいるという事実。

良い悪いではなく、事実として存在する。

これらの事実は結婚以来、長い時間ずっと変わっていない。
変えられなかった事実でもある。
絶対とはいえないまでも青天の霹靂でも起こらない限り、この先も変わらないと思った方が可能性として高い。

もちろんご主人が治療に積極的になってくれることが、いちばん望ましい。
けれどもそれはご主人の希望がそちらへ向かない限り、不可能なことだ。

またセックスレスの悲しみを感じないよう、まりこさんが目標を探してひた走るというのにも限界がある。
これ以上がまんしながら明るく笑っていれば、いずれ心も体もついていかなくなる日がきてしまうだろう。

目標を見つけたらまっしぐらに走っていくパワーや、難関試験に突破するだけの高い能力。
それは他者にはなかなか持ち合わせない、まりこさんの持つ財産だ。

そのパワーを消耗する方向へ使うのではなく、心の底から喜べるものに向けて使っていただきたい。


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