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難しい「士業」の試験に合格し年内に個人で開業する予定にしている、北海道在住40代のまりこさん。

※士業(しぎょう)とは税理士、弁護士、行政書士など「士」のつく職業で「さむらい業」ともいう。
士業とは(Wikipediaより)

開業をするにあたり、仕事の方向性を模索したいという理由で傾聴ライティングをご利用された。
ご自身の生育歴においては特に問題がないのだけれども、受けてもいいだろうか?というお問い合わせだった。

傾聴ライティングは基本的に「生育歴に問題があり、苦しんでいる人の問題点を探る」というコンセプトのもとで進めさせていただいている。
それまでに、生育歴に特に問題がなかったという人の応募はなかった。

また私には士業の知識が皆無なことで、逆にまりこさんのお話が理解できるのだろうか?ということを率直に返答させていただいた。
すると以下のような、返信をいただいた。

・開業をするにあたり、まりこさん自身が人の相談を聞く立場になる。
・相談を受けるうえで傾聴ライティングのインタビューが、どのように行われるのかもとても興味がある。
・士業の知識がなくても問題ない。
という前向きで快活な返答をいただき、とてもレアなケースとしてご依頼を受けさせていただいた。

スラリと背が高く、線の細い女性が現れた。
メールでやり取りする際の、快活なイメージとは少し違っていた。

知的な落ち着いた雰囲気で「士業」という職種がピッタリだと思えた。


士業を志したきっかけ

自営業の夫と仲良く2人暮らし。
まりこさんも夫の事業とは関係のない企業で、総務、経理を担当する社員として勤務していた。
仕事はとても忙しく、やりがいもあり好きだった。

だが30代だったころから、社内に「ブラック社員」が出没するようになる。
そうしてブラック社員を、プロとしての仕事にしている人がいるということもその当時に知る。

自分の上司がブラック社員の対応に苦労している姿を、目の当たりにした。

同じ社員ではあるものの夫が自営業だということもあり、ブラック社員を経営者的な目線で見てしまう。
「こういうのって、なにかおかしい。変だ」と思いながら見ていた。

このことがきっかけで、士業の資格に興味を持つようになった。
けれども2年前、体を壊してしまった。

仕事をとても大切に思っていたので、仕事をしていない自分が想像できない。
でもよく考えると、長年仕事に全力を注ぎ込んでいたためアウトプットばかりをしていた。

そろそろインプットをしなければという必要性を感じた。
なによりも体が言う事を聞かない。

また在職中に1度受験してみて体調を壊したままで、仕事と受験勉強の両立は無理だと感じた。
全力で仕事に取り組み続けて、やりきった感もあった。
長年勤めた会社を潔く退職して、体を治すことと受験勉強に専念することを選んだ。


目標を決めて突き進む!

退職後ほどなくして、体調は万全に回復した。
すると勉強のことが、日々頭から離れない生活だった。

まりこさんの希望していた士業の試験が実施されるのは、年にたったの1回。
受験する年によって合格率はまちまちだが、まりこさんが合格した今年の合格率はわずか7%の難関だ。

しかもこの試験に、退職してからわずか2回の受験で合格している。
どれほど勉強に没頭したのかは、想像に難くない。

なにか目標を設定したら、そこへまっしぐらに突き進むという性分だ。
勉強をすることは「辛くて楽しい、楽しくて辛い」のくり返し。
そのアップダウンが達成感を生みだす。

まりこさんは夫婦そろって、敬虔なクリスチャンだ。
教会では年頭に抱負を書くという行事がある。
そこへ書いた今年の抱負にも「受験は苦しくても、勉強は楽しい」と書いた。

受験に合格したこれからも、他の勉強を積極的に挑戦するつもりでいる。
インタビュー時もすでに、2つも新たな勉強をすることを決めていた。


方向性が決まれば、すぐに開業をできるのか?

まりこさんが模索したいと申し込んだのは、自分の専門についてだった。
調理師というくくりのなかでフレンチ、イタリアン、和食……などそれぞれに専門があるように、
士業にも専門があった方がクライアントさんたちが、目的別で自分を見つけてくれやすいということだった。

目標に向かい一目散に突き進んできた様子は、とてもよく伝わった。
では専門を決めるにあたり、私はどのように関われるのだろうか?という疑問が浮かぶ。

聞いている限りでは、これまで自分の目標をいつも自分で設定してきているように思える。
それなのに専門だけ決められないというのは、どういうことなのだろう?

いくつかある選択肢のなかから、選べないというのならわかる。
けれどもまりこさんから、選択肢を聞き出そうとしても答えが返ってこない。

士業の資格を取ろうとするきっかけになった
「これってなにかおかしい、変だ」という疑問を掘り下げることが、専門性につながるのではないかと問いかけてみた。

すると「疑問が生じた時点ですぐに調べる性分だから、そこは掘り下げる必要を感じない」

子供のころから熱中していたことや、得意だったことから考えてみてはどうだろう?と聞いてみても、
「得意なものは特になかった」という返答が返ってくる。

また専門を探す話題になると表情が曇り、無意識に違う話題へ変えようとする。
こちらから見る限りでは、まるで専門を決めることを拒絶しているように思えた。

なぜだろう?専門を探る糸口もつかめないまま、どんどん時間が過ぎていく。

不思議に思った私は、思わず聞いてみた。
「もし専門をここで決めることができれば、すぐにでも開業しますか?」

するとまりこさんは急に笑顔になり「えー!わー!できないかも!」と即答した。

第2話へつづく


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