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信仰心の厚い家族と、性同一性障害の苦悩

信仰心の厚い家族と、性同一性障害の苦悩2
の2話に登場してくださった、ヨシユキさんより早速のご感想をいただいた。

性同一性障害を抱えた人と出会うのは、私の人生で初めてのことだった。
正直私にヨシユキさんのお話が理解できるのだろうかと、緊張した。

お会いして話が始まると、
性同一性障害を抱えていた幼少期からの悩みだけではなく、
信仰を持たれているご家族との葛藤まで関係していたことを知った。

もともと人と話すのが苦手なヨシユキさんだけど、
初対面の私を前にして、更に緊張していたのが伝わった。

「すみません、もっとちゃんと話したいことをメモとかしてくればよかったですね」
などと恐縮してしまう。
私が緊張をしている場合ではなくなり、次々と質問をさせていただくことにした。

質問に答えるのは苦痛ではないと言ってくれて、
答えにくいだろうと思われる質問にも、嫌な顔ひとつせず答えてくれた。

性同一性障害という事実を、信仰のない家族に認めてもらうことでさえ
大変なことだろうと思われるのに、
深い信仰心を持つ家庭のなかで育ってきたことを聞けば、
その苦悩は私の想像を絶するものだった。

また熱心な信仰を持たれるご両親の心境まで、ついつい考えてしまう。
誰が悪いわけでもないのに、だからこそ根深いものになってしまうこともある。

それなのにヨシユキさんは
「自分は虐待を受けたわけでもないし、不自由なく育ったのに、
こんな話でいいのかと申し訳なく思う」
と逆に私を気遣う様子を見せてくれていた。

傾聴ライティングをしていて、ほとんどの人がインタビューのときに、
「こんな悩みでいいのでしょうか?」と恐縮されることが多い。

でも話し終えた後で
「こんなに話すことがあったとは、思わなかった」
という言葉もよく出る。

そうして改めて文章に起こされたらどうだろう?
1人の人間の幼少期からの半生は、たとえ虐待を受けていなくても、
ものすごく多くのストーリーが潜んでいるのだ。

ヨシユキさんから傾聴ライティングのご感想をいただいた。
ご本人の了承をいただき掲載させていただく。

今回こういう風に自分の人生について、誰かに話をするということは、
かなり勇気のいることでした。

自分の性別のこと、家族の宗教のこと、
いろんなことから逃げてきた情けない人生を他人に話した時、
どういう風に思われるか、考えると怖くなったからです。

弱い自分に言い訳をして、また逃げ出してしまおうかと。
そういう気持ちは少なからずありました。

ここ数年、かなり前向きに色々なことをとらえられるようになりましたが、
たまにそんな自分が顔を出します。

正直、自分が話したことが文章になって、それを読み返した時、笑えました。

あほみたいに言い訳をして、自分が努力できなかったことを
自分以外のせいにしていることが滑稽でした。

こうなると向き合うしかないですね。笑

自分の弱さに向き合って、認めて、馬鹿だなって笑って、
じゃあこれから自分はどうなりたいの?って考えるきっかけになりました。

中野さんは終始優しく微笑んでくれて、
なかなかうまく言葉が出てこない中うまく話を引き出してくれ、
共感してくれ、一緒に笑って、楽しく会話ができました。

本当にありがとうございました。


私はヨシユキさんの過去が馬鹿だなんて、ちっとも思わない。

けれどもヨシユキさんが過去の自分を振り返り、
客観的に見ることでそう思ったのなら、ヨシユキさんの心は数年間のあいだに、
ものすごく早い成長を遂げているということになる。

今47歳の私が30代の前半を思い返せば「私って馬鹿だったな」と思うことは多々ある。
もっと前なら、それ以上だ。
けれどもここ数年間の自分の幼さは、認識できない。
幼い自分の考えを振り返るには、もっと長い時間差が必要だ。

「まだ30歳のヨシユキさんはここ数年で、どれほど成長したことだろう」
と年長者から見れば、誉め称えるに値することなのだ。

それほど早く成長したのは、過去の悩みが深かったからこそ、
早く脱出する手立てを考えようと、真剣に試行錯誤をしたのだと思う。

もっと言うならばヨシユキさんが40代後半になって、
今回のストーリーを読んだときに今と同様に笑えるのかも聞いてみたい。

自分が幼少期から、いかに正直に生きてきたか、真面目に悩み抜いてきたか、
見知らぬ人間に話をすることが、
文に起こして公表されることがどれほどの勇気が必要だったか。

歳を取れば取るほど心の柔軟性を欠いて、誰もが守りに入ろうとする。

そうなってから自分の30歳の偽らざる言葉を読んだ時に、
あの勇気があって、自分はどうなりたいの?と問いかけたから、
今の自由な自分がいるのだと、過去の自分を見直す日がくるのではないだろうか?

きっと過去の自分を笑ったりしないだろうと思っている。

ヨシユキさんの持つ優しさや勇気は、自分だけが気がついていないものかもしれない。
自分を誇らしく思っていただきたい。誇りを持って自分の決断を信じてほしい。

今後もなにかに悩んだときは
「じゃあこれから自分はどうなりたいの?」
に立ち戻って、ゆっくりと進めて行ってほしい。

ヨシユキさん、ご感想誠にありがとうございました。

 


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