飲食店を営む友人のブチ切れ話。
いつも穏やかで、笑顔の友人(男性)の顔が珍しく怖い日があった。
友:「自分が欲しいのは上質な白身魚と甲殻類なのに、魚の降ろし業者が何度言っても青魚と貝類を持ってくるんだよ〜‼︎」
私:「で、どうするの?それ買うの?」
友:「買うわけないじゃん、全て返品してしまうよ。そうしたら『これはまたとないネタですよ。本当に返品してもいいんですか?』って言うけど、いらないものはいらないの‼︎」
私:「じゃあどうして、その降ろし業者を使うの?」
友:「近所にある会社で、ときどきニーズに合っていることもあったから。遠くの業者だと『こんなにいい物が入りました〜』っていう連絡が入っても、計画的じゃない限り、仕込みが間に合わないこともあるんだ。それとあの業者はいつも『もう一度(顧客の)お望みの物を探しますので、仕入れをし直させてください!って反省の色を示すからだよ」
ふーんと思って聞いていた。
友:「でもね、今日とうとう堪忍袋の尾が切れた。仕入れができもしない魚を『きっと仕入れてみせます』って言って、持ってきたのはまったく違う物だった。お客さんが楽しみにしていたから、ガッカリさせちゃったんだよ。それなのに謝りもせず「これはものすごく大変な思いをして、仕入れたんですよ』ってまた上から目線で逆ギレするんだよ。そのうちこっちの欲しいものを把握してくれるだろうと思っていたけど、1年間このやりとりが続いて、信じた自分がバカだったって思うと自分にも相手にも腹が立って、腹が立って〜‼︎今日はもう飲むっ💢💢💢」とヤケ酒をあおった。
私:「その業者さんとのお付き合いは、どうなったの?」
友:「いつも俺がガミガミ言っていたのが言う気を失くして黙ったら、怖くて魚を持ってきても見せることもできずに帰っていった」
それ以来電話の一本もしてこないそうだ。ここで一同大爆笑。
相手の主訴が聞き取れない人は悪気なく「自分にとってのいい物」を商品にしたがる。
謝って反省するけど、結局聞き取れないものは何年伝えても聞き取れない。
友人が相手の熱意に応えようとした方が、結局バカを見る形になる。
けれども本当のプロは、相手が黙り込むまで「自分にとってもいい物」を押し付けてはいけないと思う。
相手の要望を聞き、なおかつ相手の想像を上回る最適なものの提案をする力のある人でないと、息の長いお付き合いは見込めない。
早々に見切らなかったの友人にも、もちろん落ち度があるだろう。
けれども黙った友人に声もかけられず、黙って商品を持って帰った業者は、本当に自分の商品に自信があったのだろうか?
あれだけニコやかな友人が黙ったら、本当に怖かっただろうなと思う。
自分の身に置き換えると相手がそこまで怒り出す前に、顧客の要望をきちんと捉える習慣を付ける必要性。
そうして無理な要望は「応えられない」と正直に言う方が、自分の信用を損ねずにいられる。
プロだってできることとできないことがあるのだから、請け負えないことは正直に伝えるしかない。
自分が要望に応えられないことを謝って、違う人に顧客が流れることを潔く受け止めるしかない。
「相手には仕入れることのできないネタ」という理由で自分の力不足を隠したり、怠けたりしたらすぐにバレる。
また絶対にやってはいけないのは、相手に不満が出たときに、無理やり言いくるめようとすることだと思う。
自分も絶対にやらない、やられないとは限らないので、自戒の意味も含めて友人の話をお伝えした。
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