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「ハングリー精神」という言葉を最近は聞かない。
草食系、肉食系のどちらかに分類されているような気がする。

この映画のDVDを観ながら、頭の中でハングリー精神という言葉を幾度となく反芻した。
イラン映画、駆ける少年

タイトルの通り、自分の得たい物のために走って、走って、走りまくる話だ。

*ここからはネタバレが入ります*

貪欲になる、主張をすることが恥ずかしいなどと言っていられない。

どういういきさつかは知らないけど、
主人公は天涯孤独で文句を言ったり、甘えられる親もいない。

ただ毎日楽しみを見つけて、必死で生きているだけ。

大人も子供も関係のない、えげつないほど過酷な生存競争がそこにはある。

でも自分の欲しいと思った物は、誰にも頼らず取りに行く。
友達同士のくだらない競争だって、妥協はしない。

そうしてこの主人公の男の子に、最も共感してしまうのは、
どれだけ人に騙されようと、脅されようと、
自分からは絶対に騙したり、脅したりしない。


奪われても、自分は他者のものを奪わない。

やられたらやり返すだけ。取られたら取り返すだけ。
ひたむきなまでの正攻法、シンプルな思考回路で、稼ぐ、戦う、喜ぶ。

毎日が充足感と達成感で溢れている!

他人の評価を気にする暇もないほど、自力で走って取りに行く。
待っていても、泣いていても誰も助けてくれない。
誰も与えてもくれない。

信じられるのは自分の力だけ。

殴られたって、集団暴行に遭ったって、負けずに立ち向かって行く。

恥も外聞もなく、悔しい、恥ずかしい思いをしたくないなどという、
大人の持つずるさや、守りの気持ちなど微塵もない。


絶対に失敗しない用意周到さなど、なんの意味もないことを教えてくれる。

失敗やバカにされて恥をかくことを、すべてバネにする試行錯誤は、
何者にも代えがたい経験を、少年自身が体感している。

原始的な発想かもしれないけど、
きれいごとなど存在しない世界で泥臭く生きるということ。

そうして日々を楽しみながら、
貪欲なまでにひとつひとつ欲しい物を得て自己実現をする。

この映画は監督自身の幼少時の実話だそうだ。
だから余計にリアリティーが増す。

そんな人としての「原点」に出逢える爽快な映画だった。


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