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周りを見渡す限り、親と同居する家庭はあまり見ない。
しかしながら私のように40代後半になると、やはり親の介護問題というものが出てくる。

最近の私への相談のなかでいちばん多いのが、親との同居問題だ。
今までは別々の所帯に住んでいたのだけど、弱り始めた親から同居したいと言いだされるケースが出てくる。

1:親の所有する家屋に一緒に住んでほしい。

2:新しい家屋の建て替えや購入の頭金は親が負担するので、子供名義のローンを組んでほしい。

3:親の所有する家屋の上物の建て替え費用を、すべて子供名義でローンを組んで一緒に住んでほしい。

同居にまつわる親からの要望、提案は、上記の3つが圧倒的に多い。

このなかで、いちばん避けた方がいいと思われる選択はどれだろう?

それは1だ。
一見金銭的に子供世代には負担のかからない、良い条件のように思える。

けれども避けた方がいい理由は明快で、子供家族にとってそこはアウェイだからだ。

ときどき訪れているから勝手も知っているし、慣れ親しんでいる場所なので、大丈夫のような気がしてしまう。
けれども実際に長期にわたり住んでみるのとでは、精神的に大違いだ。

それまでは半分お客さんのような形で訪ねていても、住むと家庭にはそれぞれ独自の「ルール」があることがわかる。

たとえ実の親でも、長年別々の所帯で暮らしていれば、実家には実家のルールがあることを忘れている。
それを「自分たちが老後の面倒を見る代わりに、子供世代の家庭のルールに変える」と考えている人が多い。

実現可能なら子供世代の家庭のルールに変えて、一緒に住めばいいのだけど、相手は老人だ。

考え方もそれほど柔軟ではないし、変化を嫌うから「自分の住んでいる場所に来てほしい」と言っているのだ。
住み慣れた家で、住み慣れた条件のもと、最期を迎えたいと願っている。

子供世代のルールに従うのなら、子供の家へ行くという提案をしてくるだろう。

親世代の暮らし方そのままを変えずに、家屋ごと引き継ぐ覚悟がなければ幸せな最期を迎えることが難しくなる。

また子供世代の家族も他人のルールのなかで「居候」的な感覚を感じながら、縮こまるような思いでいる。
それではどちらも幸せには暮らせない。

同居の相談を受けるたびに問いかけていることが、ひとつだけある。
それは同居をするまでの親、もしくは義親との信頼関係が構築できているかどうかだ。

若いころから「いつかは同居するもの」と考えている人たちには、信頼関係について考えることが抜けている。

親の残された人生より、自分たちの人生の方が順番から言えば長いのだ。
それなのに「一緒に住めばなんとかなるだろう」と軽視している人が多い。

親や義親との信頼関係を、一緒に住んでいない時期に構築できていない者同士が、一緒に住めばどうなるだろう?

「日中は仕事に行っているし、家にいられるのはわずかな時間だから」とか「(姑より)自分の方が気が強いから、負けないし大丈夫」などと無理やり自分へ言い聞かせようとしている人も多い。

けれどもその我慢は本当に必要なのだろうか?という部分をよくよく考えていただきたい。

自分は我慢をすればいいのかもしれない。
けれども我慢をしてイライラしている人がいる家庭は暗い。
配偶者や子供にも大きな影響を及ぼす。

本当にその同居は誰にとっても絶対に必要なことなのか?に立ち戻って考える必要がある。
子供の未来にまで、悪影響を及ぼしてしまうからだ。

いったん同居を始めたら、解消するのは大変なことだ。

よほど金銭的な余裕がなければ戻る家もなくなるし、解消することにものすごいエネルギーが必要となる。
同居さえしなければ、仲良くいられたということも起こり得る。

親を大事に思うことは大切なことだけれども、自分を犠牲にしてまでは大切にできない。

「奥さんの親と住むのだったら、嫁姑関係がないので大丈夫なのではないですか?」
という質問もよく受けるけど、母娘関係だっていろいろある。

実の親だからこそ、言えないことや遠慮がある場合もある。

これは私見でデータのないことだから、たまたまかもしれないけれども参考になることがある。
私の親世代で実の親と同居をしていた娘は(だんなさんがマスオさん状態)誰もがガンで早死にしている。

知っている限りでは10名以上いるし、誰もが40代〜50代半ばで亡くなっている。

強いストレスがあったのだろうと、見送るたびに考えていた。

良好な関係性の実の親と暮らしていても、そこへ他人である旦那さんが加われば親子の関係性は変わる。

2世帯同居の方法を考える前に「同居以外に、お互いが幸せに暮らせる方法はないだろうか?」ということを、ぜひ模索していただきたい。


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