これから孤食(1人での食事)の時代がやってくる⁈

既婚、独身、お子さんやお孫さんのいる人いない人。

あらゆる立場の人へ無関係でなくなるのが、孤食なのではないかと私は思っています。

ライフスタイルが多様化するにつれ、家族全員の生活時間帯もなかなか揃いません。

とはいえ内食は1人でも大丈夫な人が多いと思いますが、外食ではどうでしょう?

大衆的なお店、若い人向けのお店にも1人で入り、楽しむ孤食は素晴らしいことだと教えてくれた人がいます。

美しい人のひとり焼肉

私が20代のころ数人で連れ立って行った、近所の焼肉店。

ワイワイ話をしながら焼肉を頬張っていると、斜め向かいの席に60代くらいの女性が座りました。

一目で「カッコイイ」と思いました。

とても華奢な体型で背も低いけど、小さな顔は外国人のような彫りの深さ。

その小さなお顔にベリーショートのヘアスタイルが、とても似合っていました。

またその年代の女性が1人で焼肉店に入店し、サマになるという光景を初めて見たのです。

ちょこんと4人掛けのテーブル席に座ると、やけにテーブルが大きく見えました。

たちまち少女の顔に

同行していた友人との会話はそっちのけにして、私の目はその女性へ釘づけになります。

すると次々とオーダーしたものが、女性のテーブルへ運ばれてきます。

「大食い選手権?」と思うほど、何品も運ばれてくるお肉。

しかもお肉だけ。

野菜もごはんも、ない。

ごはんを食べないのなら、お酒?

と思うと飲んでいるのはウーロン茶。

テーブルは3人くらいで食べていいほどのお肉6、7皿で埋めつくされました。

女性は次々とお肉を網の上に乗せて、愛おしそうに1枚ずつ「パクン」と口に入れます。

その「パクン…モグモグ…パクン」とテンポよく食べる姿が、なんとも少女のようで愛くるしい。

大きな目は少し笑ってうるんだようになり、ゆったりとリラックスした表情。

黙って食べているのに、まるで誰かと歓談しているように見えるのです。

また別のお肉のお店で‼︎

それから数週間が経ち、別のお店へ行きました。

そこはスペアリブの専門店です。

すごく大きなリブ肉を炭火で焼きあげて、こんもりとお皿に何本も盛られています。

男性でも1人前でお腹がいっぱいになる、肉食系の若い人が集まるお店でした。

するとそこにも前述した女性が、入店してきました。

「あ、あの女性だ」と再び私は彼女に目を奪われますが、彼女は私の視線にはまったく氣がつきません。

スペアリブの骨を、手づかみで「パクン…モグモグ…パクン」と焼肉のときのように、食べ始めました。

すっかり女性の食べ方に魅了された私は、真似を試みるもうまくいかない。

大きな目はやはりほころび、楽しそうに食べ進めるのです。

自分の小さな顔より大きなスペアリブを、嬉しそうに頬ばる姿に胸がキューっとなります。

口の周りをベタベタになどせず、とてもきれいに食べるのです。

山のように盛られたスペアリブは、またたく間にお皿に骨だけがきれいに積みあがりました。

そうしていつの間にか帰ってしまっていました。

友人宅のホームパーティーで、バッタリ再会

それ以来その女性と会うこともなく、3年ほどの月日が過ぎました。

ある日友人宅のホームパーティーに招かれて、自分の目を疑います。

忘れもしない、あの楽しそうにお肉を頬張っていた女性も、招かれていたのです。

あのときと同じく、小さな体でちょこんと座っていました。

私は盗み見をしていたのが恥ずかしくて、なかなか声がかけられずにいました。

けれども集団の中にいてもその人は、目の前の食べ物を以前見たときと同じように食べるのです。

楽しげだけど物静かに食べる様相と同じく、人と話をするときもゆっくりと静かな話し方。

女性の周りだけなんだか、別の空間のように思えるほどエレガントなのです。

ギャップに惹かれていた

「私が釘づけになったのはこの方の醸しだす雰囲気と、食べているものや店とのギャップなのだ」と思いました。

それが腑に落ちると、話しかける勇氣が出てきました。

「ずっと前の話ですが、(お店の名前を挙げて)以前お見かけしたことがありまして」。

すると彼女はお肉が大好きなことと、1人で食べるのが根っから好きなこと。

けれども1人で外食することを、お子さんたちが嫌がっていることを笑いながら話してくれました。

私の憧れの姿です

どこへ行っても心から好きな孤食と食べもので、その場所の雰囲気に溶け込んでしまう。

それなら孤食は孤食でなくなり、他者の気持ちまで和ませる。

おいしく食べる姿は人生を楽しんでいる姿そのもので、そのまま生命力の強さなのだと思ったのです。

そうして私はその女性の力の入らないたくましさに「カッコイイ」と一目で憧れました。

少しでも近づけているように

気がつけばあのときの女性の年齢に、それほど遠くない年齢になりました。

彼女の力の入らないたくましい精神性には、近づくよう意識しています。

自分が好きなことを心から楽しみ、その楽しい雰囲気を振りまく人こそ真の自律した人。

誰もいなくても、誰かと歓談しているように見える孤食もあるのです。


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