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他人を妬む気持は、誰にでも起こる感情だろう。
自分が持っていないものを相手が持っていると、ムキになることもある。

「あなたはそんなことができて、いいご身分ね」
「若くて可愛いからって、いい気になっているんじゃないわよ」
「そんなに甘やかされて育ったら、ろくなもんじゃないわね」

女性はかなり辛辣だけど、妬みから発する嫌味をはっきりと口に出して言う傾向にある。

男性はもっと陰湿だ。
「ほー、たいしたもんだね」と口では言って見下しながら、陰で相手のアラを探している。
「あなたはそれが素晴らしいと思っているんだね」と含みのある言い方をしてみたりもする。
そうして自分が手をくださずして相手が不利になるよう、ジワジワと陥れる工作をする。

あるときに「やられたー!」と相手に言わせるまで、決して口では相手を攻撃しない。
これは男性中心の組織で働く女性なら、誰しも経験があることではないだろうか?

口に発すること、工作をすることがいいとか悪いとかではない。

日本人は相手を妬まない、悪口を言わないことが、諸外国に比べて強い美徳とされている。

「武士は食わねど高楊枝」という言葉さえある。
平たく言うと実に見栄っ張りの「やせ我慢文化」なのだ。

けれども妬みという感情が出るのは自然なことで、出さないようにするには限界がある。

自分の子供の教育には出資をしぶる夫が、
自分のためには高価な車を買ったら腹も立つだろう。

自分は毎日少ないお小遣いのやりくりでお昼を食べているのに、
妻が豪華なランチを食べ歩いていれば腹も立つだろう。

この醜い感情を抑えるから際限なく関係のない者にまで、
嫌味を言ったり陥れる工作を無意識で始める。

息子の嫁に優しい言葉もなく、会えば重箱の隅をつつくように嫌味を言う姑がいた。
嫁はほとんどノイローゼのようになり、実家へ帰ってしまった。

息子は大変だ。

母親に嫁へもっと優しくするように頼んでも「私は教えてあげているだけ」と知らんぷり。
嫁は「二度とあの姑とは口が聞きたくない」と実家から帰ろうとはしない。
最終的に息子は叔母にあたる母親の姉に相談をした。

そうして叔母が母へ言ったひとことが「(嫁を)妬んでいるんじゃないの?」だった。
不思議なことに、母はそれ以来嫁に嫌味を言わなくなった。

誰から見ても嫁に息子を取られた妬みだったのだけど、本人にはその自覚がなかった。
ただただ嫁を「教育的立場」から指導しているつもりだったのだ。
それが妬んでいるということを理解したら、みっともなくなりやめた。

冒頭に書いた嫌味を言いがちな女性も、陰湿な工作をする男性たちの例も、
すべて「人を妬んではいけない」という教育の弊害だ。

それよりも人を妬む感情は誰にでもあるのだから、
自分が妬み心を持っているという自覚をすることが大切なのだ。

「あいつ、俺よりも豪華なランチを食べやがって」
「あのバカ旦那、子供には教育費をケチるくせに自分にはいい車を買って」
というつぶやきの言葉とともに「自分は妬んでいるのだ」とハッキリと自覚をする。

そうして心のモヤモヤが相手が原因だとしても、
そもそもは自分の中にある「妬み心」にあるのだということが理解できれば、
他者へぶつける悪い感情は最小限になる。

また妬み始めるとキリがない。

自分より優れている人や、うらやましい相手は五万といる。
その人たちとイチイチ張り合っていたら、妬みの人生で終わってしまう。

嫁を妬んでいた姑だって、
そのままでは思うようにならない嫁にイライラするばかりだろうし、
夫の元に帰ってきてくれなければ、息子から見放される可能性もあっただろうし、
離婚の危機だって考えられた。

それが「自分が相手を妬んでいる」という自覚をしただけで、やめられるのだ。


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