タンザニア時代の話では、親の喧嘩のことをメインに書いていた。
それは子供が小学校高学年に差し掛かったときに、
親の喧嘩が子供の目にどう映るかを知っていただきたかったから。
47歳になった今でも光景がありありと思い出せるほどだから、
子供の心には相当な負担だった。
また兄弟のなかで私が一番このことを覚えているし、
深刻にとらえていた。
私だけ軽くトラウマになっているほどだから、
私の精神は相当参っていたのだろうと思う。
精神的に脆い部分があることは、自分でも知っている。
これは乳児期に母親との関係が不安定だった子供に現れやすい。
私のように母親が私を愛せなかったというのも、
その原因のひとつだ。
その他の原因として、生まれてすぐ保育器に入っていなければならず
しばらくのあいだ親が抱いてあげられなかった子や、
出産後の母親の健康状態が悪く、
抱いて授乳をしてもらえない時期があった子にも、
精神的な弱さは現れやすいと言われている。
精神的に弱い私が、両親の不和を見て
なんとか帰国するまで元気でいることができたのは、
他に楽しみがたくさんあったからだ。
インターナショナル・スクールの休暇はとても多かった。
当時日本の学校では日曜、祭日のみが休みだったけど、
インターナショナルは土・日・祭日休みと夏季2ヶ月半、
冬季、春季各1ヶ月ずつもあった。
そのときどう過ごしていたかというと、
特に長い夏季休暇ではヨーロッパへ旅行へ行くか、
日本へ帰国する家族がほとんどだった。
我が家もヨーロッパへ毎年夏季と、春季2回行っていた。
ヨーロッパで、まず行くのは病院だ。
特に歯科は当時のタンザニアではかなり原始的な設備しかなく、
虫歯になると国外で治療するまで、鎮痛剤で我慢していた。
歯の治療が終わると、観光やショッピングへ行く。
母子がそうったことをしているあいだに、
父は日本へ原稿を送ったりする必要があったので、
父の会社の支局がある、イタリアやイギリスの旅行が主だった。
タンザニアにはないチーズ、ハム、チョコレートなどの加工食品。
タンザニアの牛はスルメのように固く、脂身のない筋肉質なものだった。
イタリアへ向かうアリタリア航空の機内食で出たステーキでさえ、
あまりにも柔らかく家族全員で飛び上がって喜んでいた。
現地では調達できない食料品や、成長期の子供たちの衣類、
靴などを購入するのも大切な目的だった。
また冬季、春季はアフリカンサファリや、
アフリカ大陸内の別の国へ行っていた。
サファリは首都ダルエスサラームから
車で7、8時間車走った距離に国立公園がある。
公園はいくつもあるので、公園から公園を巡ることになり、
帰ってくるまでの1週間から10日のあいだ、
毎日違うロッジに宿泊する。
ロッジと言ってもとても優雅だ。
旧イギリス領だったため
当時植民地支配をしていたイギリスのお金持ちたちが
自分たちでくつろぐために作られた場所だった。
フルコースのおいしい食事が出たあとは、
屋根の高い石造りのロビーにある暖炉の前で、
コーヒーや紅茶を飲んで談話する。
「ゲームミート」と言われる、
頭数調整のため捕獲されたシマウマや、
ヌーの肉もここでは食べられた。
(柔らかくておいしいです!)
サファリができる地域は標高が高いため、
朝晩は10度くらいまで気温が下がる。
そのためダルエスサラームにはない暖炉がある。
キリマンジャロ山にも登った。
私と妹は年齢制限があったので一合目までしか登れなかったが、
それでも富士山より高い標高だ。
また南アフリカのローデシア(現在のジンバブエ)にもよく行った。
タンザニアと違って街中には白人がたくさんいる、
ヨーロッパとあまり変わらない美しい街並み。
そこからビクトリアの滝を見に行ったときの、
あの激しい壮大なスケールは忘れられない。
こんな素晴らしい時間もあったのだ。
今から行こうと思っても、膨大な時間と費用がかかる。
二度とお目にかかることができないような環境を、
小学生で味わえたことは両親に心から感謝している。
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↓いつも応援ありがとうございます。
アフリカの旅行記は目にしたことがありますが、実際に住んでいたという方の生の言葉は
なかなか出会えるものではないと思います。
セリさんが語るアフリカの暮らしは、本当にわくわくとどきどき、そしてはらはら。
本当に胸がおどります(*^。^*)。
シマウマやヌーの肉!
ああどんなお味がするのでしょう。
今日も興味深い記事をありがとうございました(^・^)。
ユウコさま
記念すべき初コメント、大変感謝しております。
もう40年近く前の話になってしまいますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
タンザニアの今は物資も豊かなようですし、治安も私がいた頃よりぐっとよいみたいです。
ヌーは柔らかかったですよ〜。
さっぱりとした仔牛肉のようなお味でした。
野生動物は運動しているので、和牛のようなサシは入らないのですよね(^-^)
日本に帰ってきて「シマウマは肉もシマシマだった」と言ったらみんな信じてしまい、慌てて冗談だと訂正しました〜!