八百屋さんから「はまぐり」をもらった件
7月のある日「ねぇ、はまぐり、はまぐり!」店舗の奥まったところにいる、顔なじみの八百屋の奥さんからまるで私の名前が「はまぐり」になったかのよう呼び止められます。
「はまぐりがどうかしたの?」とそばにいた別の店員さんへ聞くと「今日ははまぐりを持ってきているから、お客さんにお分けしたいんですよ」と笑いながら言われました。
月に1回九十九里の野菜を主に、近所に販売にくる移動販売店。
見たことのない野菜や市場にあまり出回らない物も販売しているので、楽しくて行けるときは必ずのぞくようにしています。
朝取れですからキュウリやナスのトゲも鋭く、選ぶときに「ケガしないでね」と言われるのも普通の八百屋さんではないことです。
もちろん味も極上。
だけど物によってはお値段もそれなりにしますから、月に1度とはいえ選ぶこちらもガチで慎重になります。
またタイミング的に家に野菜のストックが多いときは、見るだけで帰ってくることもあるので、上顧客からはかけ離れているという認識です。
そんな私にくれるはまぐりはきっと営業サービスの一環で、一粒を試食させてくれるのだろうと考えていました。
すると奥から持ってこられたのは、ビニール袋にぎゅうぎゅう詰めにされたはまぐり。
はまぐり高いですよね。
スーパーでも、たった3個で350円なんてします。
「小ぶりだけど、もう最後だから」とラグビーボールのようにふくらんだビニールを、無料でくれました。
その日は自宅で、はまぐり祭りでした♪
小ぶりとはいえ、あさりより2まわりほど大きい。

はまぐりの酒蒸し

はまぐりとトマトのパスタ
こんなにはまぐりを1度にふんだんに食べたのは、生まれて初めてでした。
「加熱しすぎると固くなるから、殻が開いたらすぐに火を止めてね」と言われた通りにしました。
これまで食べたどのはまぐりより身が柔らかくて甘いし、身から出たおダシもはまぐりだけのおダシとは思えないほどの奥深さでした。
本当においしい時期の、はまぐりを食べてもらいたかった
次にお会いした際に、はまぐりの美味しさとお礼をうっとりと語ると、今は禁漁の時期なのだそうです。
そうして10月に入るとまた解禁になるそうですが、地元の人たちはその時期のはまぐりは食べないと言います。
10月のはまぐりは前回もらったものより大きく育っていて、身も固く甘みもなくなるからだそう。
「本当においしい時期に、食べてもらいたかったの!」と教えてくれました。(後からいうところがまたニクいね‼︎)
高価な商品になる見栄えのいいものではなく、無料で本当においしい時期のものを与えてくれたのです。
この店舗の持ってくる商品がおいしいのも、高いのもこの「本当においしいもの」に裏打ちされたものだからなのかと思いました。
これが自分の商品に自信のある人のやること。
大きく与えて大きく受けとるのが、本当の「やり手」の正攻法なのかと思います。
論より証拠がいちばんの与え上手
いっぱい勉強をしたって、どれだけ資格を持っていても、喜ばせることができなければ長くは続かない。
まず与えなければ、そうして受け手となる人を選ぶ審美眼も必要でしょう。
自分の商品を買わせるために与えるのではなく、顧客との信頼関係を構築するために与えているのだと思います。
「この人の販売するものには、間違いが少ない」あるいは「この人の販売するものは、自分の欲しいものと大きく合致している」という意味での信頼関係です。
それだけ与えても付いて行く人は、どれだけの確率なのか?
「与えられて当然」の人は厚かましいと淘汰されるでしょうし、受け取り上手になるには与える側の真意をくみ取る力が試されます。
それにしてもここ2年ほどいただきものが増えてきた私は、多少受け取り上手になってきているということかな?

いただきものの銘酒

いただいたばかりの新米
受け取れているということは与えているということですが、どこで与えているのかはわかりません。
嬉しいときは素直に喜び合い、不要なものはたとえ親しくても、高価でも受け取らない習慣が、与え上手と受け取り上手になる秘訣かと思われます。
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