共依存関係の子供は親を責める

「私の親が悪いのでしょう?だけど責めても意味がないというのはどうしてなのでしょう?それは親だから尊敬の対象であるべきということですか?」というご質問を受けます。

親からの依存に苦しむ子供が、大人になってつまづくテーマのひとつです。

大人となり親との共依存関係に気がついた子供は、親を責める気持ちが強いです。

というかこれまで責めていない人に、私は会ったことがありません。

子供のころから親に物心ともに奪われ続けてきたわけですから、責める気持ちが起こるのも自然なことです。

親へ喜んでもらいたい、見返りなく自分を愛してほしい、怒らせたくない一心で砂漠に水を撒くような無限の行為を、子供のときから親へ施してきたわけです。

また子供から責められた依存親が悲劇のヒーロー、ヒロインとなり、自分の子供から被害を受けたと陰で言って回ることもよくあります。

陰で親が言っていたことがどこかで耳に入り、子供は奪われてきたにもかかわらず、さらに悪人扱いの欠席裁判を受けた事実を知ります。

そこで激しく傷つくのは親ではなく、子供の方です。

いちばん苦しいのは親を苦しめたという罪悪感

「もうこれ以上自分を利用(悪用も)しないでほしい」とずっと願っていたことに気がついた子は、親を責めます。

ただ共依存親子の子の側には、親から存在自体を責められてきた歴史があります。

「あなたがいるせいで〜」「あなたがこれをしてくれないから〜」と親から自分が悪いと責められてきて、傷ついているのです。

すると親を責めることで、自分が親から責められていたときの記憶がよみがえり、自分自身が罪悪感や自己嫌悪に陥り苦しむ。

罪悪感や自己嫌悪を感じたくないという理由で、最後は親の要求を飲んでしまう形まで追いやられることもあります。

親は責められた事実だけに怒り、子供は要求を飲んでもらえない事実を嘆いている

ここで本題なのですが、ではどちらがいちばんつらいのか?

確かに他者から責められたときは、つらいです。

心に嵐が吹き荒れるような思いをすることもあります。

ただ心に嵐が吹き荒れるときは、責められたときというか八つ当たりをされたときだと思います。

本当に愛ある責めで嵐が吹き荒れることは、ありません。

また依存をされた子供が親を責めるときは、長年の苦しみをこらえきれなくなったときなので、八つ当たりではありません。

ということは親の心に嵐が吹き荒れているわけではありません。

吹き荒れているとしたのなら「自分の下僕が自分に指図をした」という上から目線で服従をさせられないことに、嵐を吹き荒らしているだけです。

いくつになっても人間同士の話はできず主従関係に論点をすり替えられると、絶対服従以外の寄り添う方法が残されません。

つまり人格否定あるいは、人格の無視をされて傷つくわけです。

一方で親を責めている子供がいろんな事例を責めていても、結局のところ要求は「自分の人格を否定するようなことはしないでくれ」という部分に着地しています。

その要求は聞き届けられていません。

要求は聞いてもらえず反撃にまであい、罪悪感と自己嫌悪で深く深く自分の心を傷つけていきます。

結局依存親は主従関係が元に戻り無傷で終わり、子供側には要求を聞き届けてもらえなかった無力感に加えて、深い傷が、幾重にも塗り重ねられることになるのです。

親を責めても仕方がないのではなく、自分を傷つけていることに視点を合わせる

悪いのは親であっても自分が傷ついてしまっては、親と自分でダブルに痛めつけていることになるので心も体も病みます。

そうして元気になってもまた同じようなことの繰り返しで、さらに病みます。

どれだけ元気になろうとしても、これでは元気になることはできません。

親は困らない、自分はずっと困っているのなら、どちらが悪いかを考えるよりどのように心の傷を回復させるか、深めないかに着目していただきたいのです。

親が改善してくれなければ自分はよく生きていけないのなら、改善しないままいなくなったときにはどうなってしまうのでしょう?

もともとギリギリの心で生きてきた人が、親がいなくなった途端に元気にはならない。

むしろ最後まで願いを聞き届けてくれなかった恨みや虚しさで、心がさらにズタズタに切り裂かれるかもしれません。

それほどまで親との関係修復に、固執してきたのですから。

親のことを思って責めることに意味がないということではなく、自分の心を大切にするために親を責めないのです。

また親を美化することでも、怒りに蓋をすることでもありません。

美化や蓋をすることは長い年月を経てその事実に気がつくと、さらに自分を傷つけます。

自分の心の傷を癒すために親を責めるパワーを、自分自身が充足することに向けていただきたいのです。


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