住む場所ごとに、お料理の先生がいた
国内外含めていろんな場所に住んだ私ですが、どこへ行っても地元の食材を使うお料理を教えてくれる人たちがいました。
22歳から26歳まで4年間住んだ北海道の旭川では、自宅近くに美味しい焼き鳥と日本酒の専門店がありました。
オーナーさんご夫婦は5年ほど前にお店をやめて、現在は旭川郊外で陶芸をしながら悠々自適な隠居生活をご夫婦で楽しんでいるとのこと。
旭川は日本で最低気温を記録した土地で、住み始めた最初の年は冬になったらどんな生活になるのか想像もできませんでした。
それまで雪国に縁のなかった私にとって、大げさではなくアラスカや北極に移り住んだような未知の世界でした。
このお店のご夫婦には私より4歳上のお嬢さんがいたこともあり、右も左もわからない私へ娘のように、さまざまな北国の食の知識を教えてくれました。
当時は英会話講師をしていたので、同僚の外国人講師たちとお店へ行くと、マスターがそれぞれの好みの日本酒を魔法のように出してくれます。
1人1人違う種類の日本酒なのにどの人の好みにも合わせられていて、外国人講師たちは誰もが日本酒好きになり、帰国する際マスターの手配した一升瓶を抱えて帰って行きます。
私の好みもその日によって言い当てるように出してくれるので、マスターの出してくれるお酒が私の好きな日本酒でした。
そうしてママは出されたお酒に合う美味しい当てを出してくれ、その作り方まで惜しみなく教えてくれます。
旅行や釣りへも連れて行ってもらい私は「マスターとママ」と言いながら、いつも甘えさせてもらっていました。
日本酒泥棒のイカのゴロつき
ネーミングが笑えるお料理なのですが、イカの内臓(わた)のことを「ゴロ」と言います。
それでイカにゴロがついているお料理だから「ゴロつき」なんです。
わたの入ったスルメイカやヤリイカが、出回るとつい作りたくなる一品です。
どちらの種類のイカで作っても美味しくできますが、今はスルメイカの旬です。
今年は豊漁なのかあちこちで鮮度のいいものが、安く出回っているように思います。
ヤリイカに比べるとゴロは小さいのですが、スルメイカはヤリイカより身が薄く柔らかく甘いので、とても食べやすいです。
イカのゴロつきの作り方

黒い斑点が濃くて、身が透き通ったスルメイカ
ゴロをお料理に使うイカは、鮮度がいいほど磯臭さがありません。
皮の表面の黒い斑点が濃く、身が白くなっていない透き通ったものがあれば間違いありません。

洗って解体
イカを水道水で洗ってゲソを引っ張ると、内臓が出てきます。
ゴロ(写真左上のゲソの下に隠れてしまいました)は内臓の黄土色をした部分だけの呼び名で、ゴロの脇には墨袋がついています。
ゲソと目玉を切り離して目玉は使いません。
またゴロに付いてる墨袋は破れると全部が真っ黒になるので、同じく取り除きます。
墨袋はピーっと爪でつまめば簡単に剥がれます。(タレが黒くなるのが気にならなければ、イカ墨を一緒に食べても美味しいです)
胴体の真ん中に切れ目を入れて、スルメのように開きます。
胴体とゲソ、ゴロの3つに分けるだけ。
胴体には両面、ゲソ、ゴロにも強めに塩を振り、網を敷いた保存容器で冷蔵庫へ保存して一晩から二晩水気を切っておきます。
ここでしっかりと水気を抜くと、生臭さや磯臭さが取れてコクのあるゴロになります。
水切りが終わったら油を敷いていないフライパンを温めて、中火でイカのゲソと胴をまず焼きます。
焼きすぎると固くなりますから、両面が白くなれば大丈夫です。
焼けた胴体を切って、先にお皿に盛り付けておきます。
同じフライパンに火を止めた状態で、ゴロの薄皮を爪で破り中身を搾り出します。
そこへお酒、お味噌、みりんをお好みの量を入れて、菜箸やヘラでまんべんなくダマがなくなるまで混ぜ溶かします。
ゴロと調味料がきれいに混ざり合ったら火をつけて、フツフツと煮立ち始めたら弱火にします。
1、2分でタレがモッタリとしてくるので、お好みの硬さになるまで焦がさないように混ぜ続けます。
先に盛り付けておいた胴とゲソにかけたら、ゴロのタレをかけてフィニッシュです!
お好みで七味、一味などをかけるとより一層大人の味です。
私は黒七味をかけています。

できあがり!
ゴロつきにぬか漬けで、日本酒が止まりません。

はい、アーン!
ゴロはタレになると、少しカニ味噌っぽい味になります。
お味噌が入っているので、ご飯とも合いますよ。
買ってきたばかりの日は
ゴロつきを作る場合は、イカを買ってきた翌日からが食べごろとなります。
それまで待てないのでゴロとゲソは2杯分塩を振って冷蔵庫へ入れましたが、1杯分の胴体はイカ刺しの丼にしました。

イカ刺し丼
炊き立てご飯に大葉とスルメイカの胴体の細切りを、どーんと盛り付けて卵黄と海苔を乗せました。

トロリーン♪
わさびかおろししょうがにだし醤油をかけると、トロッとトロけるイカの甘さで気分は北海道です!
イカに含まれる豊富なタウリンは肝機能をアップさせて、うつ感情や疲労感を取り除く効果があります。
今が旬のスルメイカを食べていれば、梅雨明けはもうすぐそこ!
簡単ですので、お試しください!
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