私の最初の盛岡の印象 〜衝撃的に美味しかった精進落とし料理
6年前、父の公私共に渡る友人女性が闘病の末亡くなられました。
その方が私の目指すおむすび婆さんのモデルさんで、どこへ行くにもおむすびを持って行く人でした。
小学生の頃から可愛がってくださり、岩手県出身の方で故郷でお亡くなりになられました。
訃報を聞きすぐに葬儀が行われる盛岡へ向かい、お通夜、葬儀、火葬場にまで親族でもないのに、ご家族が立ち会わせてくださいました。
お骨を拾わせていただき、精進落としのお食事が用意されている会場へ向かいます。
保存容器に詰められた手料理の数々。
山菜料理、お漬物、お団子、白むすび……それらが所狭しと並べられています。
その方のご親族、ご近所の方たちの家から持ち寄られた素朴で、手慣れた味のすべて手作りのお惣菜でした。
「全部田舎の料理ですから、お口に合いますかね?」と喪主の方が言われました。
仕出し料理屋の精進落とししか食べたことのなかった私は、手料理がいただけるとは思っていず、とても感動しました。
ただ残念なことに帰りの新幹線に乗る時間が迫っていたため、30分ほどで会場を後にさせていただくことにしていました。
ワラビの煮物を勧められるまま、口にすると「おいしい」とつぶやいてしまいました。
これまで食べたワラビ料理より香りも深く、味付けも絶妙な加減でした。
そうしてツヤツヤのお米で握られた塩むすびの甘さ、きれいな黄色に浸かったタクアン、どれもこれもが文章で現せないのが悔しいほどおいしいのです。
気持ちのこもったお惣菜を噛みしめると、亡くなられた方との思い出が次々と浮かんできて寂しくなくなりました。
あっという間に出発の時刻になると「新幹線の中でどうぞ」とどなたかが、それらのお料理を容器に移し替えてくださり、手土産に持たせてくださいました。
亡くなられた方が温かい方だったのは、こんなにも温かな環境や食で育ったからなのかと思いました。
そんな温かな人のいる土地に、ゆっくり行くことになりました
ご縁だと思いますが断食の回復食が終わるタイミングで、盛岡へ行く用事が入っていました!
おいしい物を食べる準備は万端!
断食のおかげでグジグジと考える雑念も追い払われて、気分はものすごくリラックスしています。
到着日の現地の天気予報を調べていると、東京では今年あっという間に終わってしまった桜前線がちょうど東北地方にいました。
しかも私が盛岡へ行く日は「満開」の予定日で、開花時に雨天や曇りの日が多かった東京と違って晴天の予報が出ています。
「(断食の)ごほうびだ!ごほうびだ!」と自慢をして周り、ワクワク指折数えてその日を迎えました。
地元の方へ連絡を取り盛岡名物の「じゃじゃ麺」と「冷麺」のお店を教えてもらいました。
満開の桜を愛でておいしい物を食べる、そうして再び桜を愛でるなんて最高です!
自然相手にこのようにピッタリのタイミングで行けるなんざ、なかなかないことだヤッホーイ。

石割桜
盛岡へ到着した日は、あいにく天気は曇っていました。
地元の人と駅で合流して、真っ先に向かったのは「石割桜」という岩の割れ目から出てきた桜の木。
中心地にあるため、駅からも歩いて行けます。
日当たりが良かったのか、少し葉桜になっていました。
そうして花より団子ということで、じゃじゃ麺のイチオシだと言われた白龍(パイロン)本店へ向かいます。

白龍本店
午後2時過ぎだというのに、お客さんでいっぱい!
「大中小ありますが、どうされますか?」と聞かれます。
私が「中を」と言うと連れてきてくれた地元の人は(男性)「小を」と言います。
すると店員さんが「中は通常の大盛りですので、初めての方は小にされることをお勧めします」と教えてくれました。
大盛りでも大丈夫な気がしましたが(笑)お勧めしていただいた通りにお願いすることに。

じゃじゃ麺(小)
「よく混ぜて召し上がってください。お好みで薬味のお酢、おろしにんにく、ラー油もかけてください。麺を食べ終わったら(各テーブルに置いてある生卵を器に割り入れて、混ぜてからもう一度お呼びくださいね」と言われて運ばれてきました。

よ〜く混ぜましたよ!
私がそれまで食べたことのあるじゃじゃ麺って中華料理屋さんのメニューで、冷たい麺にゆるい甘辛の肉あんがかかったものでした。
けれども本場は麺がアツアツ茹でたてで甘辛あんではなく、濃い味噌味なのですね!
冷たいきゅうりの千切りのシャキシャキ感が、口の中をサッパリしてくれます。
肉あんも甘くなく、キリッと私好みです。
もちもちむっちりアツアツ麺を、かぶりつくように口に頬張ります。
「あー!あなたに会いに私はここまできたの❤️」
添えてある紅ショウガをときどきカリッとかじると、味が引き締まってまた一段とおいしい!

〆のちいたんたん
麺をすべて食べ終わると溶き卵を器に作り、店員さんへお願いします。
アツアツのスープとタレ、ネギを注いで半熟卵の「ちいたんたん」というスープを作ってくれます。
麺を食べ終わったときは「やっぱり中にすればよかったかも」と後悔したのですが、ちいたんたんを飲み干し外へ出てちょっとすると麺が膨れてお腹いっぱいになりました。
それに中を頼んだ観光客らしき方が「すみません、残しちゃいました」と言っていたのが聞こえたので、やはり小でいいようです。
用事を済ませて1人になり、予約を入れていたお寿司屋さんへ。
初めて訪れる街の初日の夕飯は、事前に予約しておくことをお勧めします
日中じゃじゃ麺屋さんへ連れて行ってくれた方は、夜も案内してくれると言ってくれました。
けれども1人で知らない街で誰にも気を使わず、地元の雰囲気を味わってみるのもいいなと、1人で夜の盛岡の繁華街へ行くことにしました。
事前にネットで調べておいたすし処かね田というお店へ予約を入れていました。
予約を入れておけば日没後ウロウロと1人お店選びに困らないのと、お目当ての店に満席で入れなくて徘徊する手間が省けるから。
1人で入りやすいお店と大人数に適したお店がありますから、場違いな感じのお店へ夜に女性が1人で入るのは気詰まりです。
実はお寿司屋さんのカウンター席に、1人で座るのは初めてなんです。
けれども大将の細やかな気遣いのおかげで、とても心地よい時間を過ごすことができました。

あみだけおろし

ホッキのヒモを海苔で包んで揚げた、揚げ出し

ヒラメとサヨリの昆布締め
おまかせでお願いしたのですが、これ以外にも前菜だけでまだまだ出していただきました。
日本酒の品揃えもとても豊富で、すべて岩手の地酒をお願いしました。

日本酒のメニューです
お酒はもちろんとても美味しかったのですが、飲み終わると仲居さんが「うちでいちばん綺麗なぐい呑をお出ししました」と恥ずかしそうに、教えてくれました。

きれいなぐい呑
女性1人客への気遣いでしょうか?
こんな気持ちがとても嬉しいです。

コリコリと食感が楽しいツブ貝

ものすごく鮮度のいい生鯖

とろけた中とろ

わーい!筋子の細巻きだ!
美味しすぎてお寿司もお酒も結構な量を飲み食べしたのですが、画像が多すぎるのでこのくらいにしておきます。
お腹いっぱいなのだけど、まだ食べてみたいものがー‼︎
お寿司屋さんを上機嫌で後にして「地元の人に教わったイチオシ冷麺を今日のうちに食べておくべきか、やめておくべきか」と迷いました。
偶然にもその冷麺を置いてある焼き肉屋さんは、宿泊ホテルの目と鼻の先です。
とはいえ翌日は午前中にチェックアウトしますし、お昼は盛岡市内の別の場所にいる予定でした。
「行くのなら今日しかない!」3分ほど歩きながら迷った末、お店へ向かいました。

来てよかった、憧れの盛岡冷麺
食道園という盛岡冷麺発祥の店だそうです。
ゆで卵の下に敷いてある茶色いのは、ビーフジャーキーのようなもので、珍しかったです。
ひんやりとした冷麺が日本酒でホカホカした体に、スーッと入っていきます。
美味しかったですが、冷麺に関しては日頃自分の行動半径で行く焼肉屋さんで食べるのと、それほど大差はなかったように感じました。
これも食べてみなければわからないですよね。
スルスルと完食し、ホテルに戻り明日を楽しみにしつつ爆睡しました!
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