世の中に完璧な人間などいない。
服や靴、ヘアースタイルに至るまで完璧に着飾っていても、食事は適当だったり、仕事は早いけど雑だったり、丁寧でも定められた期限を守れなかったり……。
必ず表裏一体の部分が出てくる。
もう何十年も前の話になるけれど、元オリンピック体操の池谷幸雄選手が銀メダルを取ったときに語られた池谷母の子育て論が忘れられない。
池谷元選手は幼い頃から、ものすごく暴れん坊だったそうだ。
「このままでは怪我をする」そう思い、母親は池谷元選手に体操を始めさせたと言っていた。
暴れん坊の力を押さえつけられることなく、存分に発揮できる場所を探してメダリストになったのだという。
暴れん坊という乱暴者で嫌われたり、悪い側面として見られがちな部分を、よい方向へ引き出す方法があるのだと知った。
私は小学生のころ近所の暴れん坊に下り坂で体当たりをされて、顔からアスファルトへスライディングさせられたことがあった。
母親に伴われて、私の家へ詫びにきたとき母親は「厳しく言って落ち着かせます」と泣いていた。
けれども「厳しく落ち着かせられた」その後もその子の凶暴性は増して、誰にでもかかって行く子だった。
逆におっとりしている子を、急かしすぎて体調不良になってしまうことある。
「夫がグズで、家にいるときはダラダラしている」「妻の作る食事がまずい」「上司がすぐに説教をする」こういったことで、一緒にいる者はイライラが溜まってしまう。
イライラの原因は相手が悪い特徴を持っているからではない。
「押さえつけたいのに、押さえつけきれないこと」に対して不満を抱えている。
悪い特徴を持つ本人は押さえつけにあうことはストレスでも、特徴そのものはストレスではないというのが皮肉なことだ。
となるとストレスを感じている者の方が自分の問題として試行錯誤に走った方が、押さえつけるより賢明ではないだろうか?
関係性をWIN-WINにして、どちらもストレスを感じないというのがいちばん理想的だ。
ダラダラしているのが好き人なら、ダラダラしながらできるなにかがないだろうか?
手先を使うものならどうだろう?
試しに夕飯のさやいんげんの筋を取ってもらおうとか、指でできる編み物でテレビを観ながらアクリルスポンジを作ってもらうとか。
食事が上手に作れない奥さんなら、レトルト食品や出来合いの惣菜を上手に活用して作る料理を一緒に探すとか。
説教好きな上司にはセミナーを開催させて、自分ではなく多くの人へ語りかける場を探すとか。
これらは例えばなしなので、皆さんの方がもっといいアイデアを思い着かれるのではないだろうか?
想像力を使いあれこれ本人と相談のうえで、いちばんフィットするものを探すのも立派なコミュニケーションだ。
押さえつければ反発をして悪い特徴が助長されてしまうのなら、有効活用する方法を探すのも一つの手だ。
悪い(と思われる)特徴を、本人がいかんなく発揮できる場が見つけられたら、池谷選手のように思わぬ才能が開花するかもしれない。
またダラダラしている人もイヤかもしれないが、いつもイライラソワソワしている人も落ち着かない。
お料理が美味しくても、掃除がからっきしダメな人もいる。
説教好きだけど、物知りだったりもする。
どちらも清濁併せ持つのだから、濁の部分に強いフォーカスを当てすぎないというのも、ストレスを抱えないための一案になる。
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