050498 

 

 

 

「ドーン!ダーン!」私の住むマンションには座敷童がいる。

内観したときには静かだったはずなのに、
入居してからすごい騒音だとわかった。
上階の子供たちが家の中で、
運動会をしているように駆け回る。
 
戦隊物のヒーローにでもなっているのだろうか?
奇声も響くし、
どこか高い所から飛び降りているに違いない。
 
壁に掛けてある、
小さなフォトフレームが落ちたこともある。
 
エアコンの取り付け工事の人が
「これはヒドイ!文句を言いに行きましたか?
こんなうるさい子がいるうちは、上の階に住んじゃダメですよ〜」
と言ったほどの騒音だ。
 
工事の人にも小さな子供さんがいるそうだ。
それなのにここまで言うということで、
どれだけの騒音なのかはお分かりいただけるだろう。
 
 
私はこの子たちに「ドンちゃん」と名付けた。
 
ドンちゃんたちの暴走は、
外へ行けない雨の日になるとさらにパワーアップする。
 
何度も苦情を言いに行こうかと考えたけど、
他に遊ばせる場所が近所にはないから可哀相かも?
などとためらい、思い留まる。
 
けれども夜の8:00には寝ている規則正しい生活のようだ。
 
翌朝6:00近くまで、
同じ部屋に住んでいるとは思えないほど静まり返る。
 
テレビのボリュームも5個くらい下げなければ、
うるさく感じるほどの静けさだ。
そんな時間もあるから、ますます苦情を言いそびれていた。
 
ところが数ヶ月経つと騒音が聞こえない日は
「ドンちゃん、具合でも悪いのかな?」
と心配するようになった。
 
きっとどこか泊まりがけで、
遊びにでも行っていたのかもしれない。
数日経つとまたいつもの「ドン!」が始まり、
元気なことを確認してホッとするようになった。
 
私は慣れているけど友達が遊びにくると、当然驚く。
「いったいなんの音?」と聞かれるので、
「座敷童の足音」と説明することにした。
 
私にだって夜遅くに帰ってきたり深夜に入浴することや、
電話で話すこともある。
迷惑をかけていることもあるかもしれない。
 
そう考えると音を立てる時間帯が違うだけで、
お互いさまな気分にもなる。
 
それと確かにうるさいのだけど
子供や動物の気配は、
大人の立てる荒々しい騒音と違って心が和むことがある。
 
体の調子が悪くて不安なときや、
イヤなことがあって沈んだときも、
「ドン!」と聞こえてくると、なぜか「クスッ」と笑いが込み上げる。
 
苦情を言って退去してしまった後に、
静かだけど変な人が入居したらもっと面倒だ!
 
和太鼓が好きな友達が
「太鼓の音は魔除けになる」
と教えてくれた。
それに近いものを、この騒音は感じさせる。
 
霊感などないけど、
夜中とか変な気配を感じることがある。
 
そんなときも上階に清らかな子供たちが
眠っているから大丈夫と思えると、
心強くなるから不思議だ。
 
うるさい子供の騒音も、
気の持ちようで守り神になるという話。
 

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